緑内障の症状と検査・治療

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緑内障とは

日本緑内障学会が作成した『緑内障診療ガイドラインの最新版(第5版)』では、「緑内障は,視神経と視野に特徴的変化を有し,通常,眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である。」と定義されています。

ごく簡単に言うと、緑内障は主に眼圧の上昇によって視神経がダメージを受け、視野・視力障害を引き起こす病気です。

視神経には、視神経は目から脳に信号を送る重要な役割を持っています。そのため視神経に障害が起こってしまうと、視野が欠けてしまったり(視野欠損)、見える範囲が狭くなってしまう(視野狭窄)が起こります。

眼疾患の中でも緑内障は、自覚症状に乏しい病気の1つです。違和感に気づいた頃にはすでに病気が進行している場合がほとんどです。

緑内障でダメージを受けた視神経を大幅に修復する方法は現在のところありませんので、失われた視野や視力が回復することはありません。

放置すれば徐々に視力が失われ、最悪の場合、失明することがあります。

実際に、わが国の中途失明(元々視力正常であった方が、後に失明すること)原因の第一位がこの緑内障です。

緑内障の特徴から明白なことは、早期発見・早期治療が最も大切であるということです。

初期の段階で適切な検査と治療を行えば、進行を遅らせて最悪の事態は回避することができます。

緑内障の原因とタイプ

眼圧の上昇によって、視神経が傷つく

緑内障は主に眼圧上昇によって視神経が圧迫されて損傷することが原因と考えられています。

日本人での正常な眼圧の上限は20mmHg程度とされており、この値を超えてくると視神経の障害が起こる危険性が高まります。ただし、後述しますように日本人では20mmHgよりも低い値でも緑内障が進行する方が多くみられます。

緑内障のタイプ

緑内障にはいろいろなタイプがあります。

原発緑内障

原発とは「原因が特定できない」という意味があります。つまり、原因が不確定な緑内障が「原発緑内障」です。
全緑内障の約90%がこの原発緑内障であると報告されています。

さらに原発緑内障には、「開放隅角緑内障」と「閉塞隅角緑内障」があります。

開放隅角緑内障

眼の中を流れる水(前房水)は虹彩(茶目)の根本(毛様体)で作られ、瞳を通って反対側の虹彩の根本(繊維柱帯)から眼の外に出ていきます。この水の出口の付近の構造を隅角といい、この隅角が広いタイプの緑内障を開放隅角緑内障といいます。

閉塞隅角緑内障

開放隅角緑内障とは逆に、隅角が狭いタイプの緑内障です。
うつむきになる、暗い所に長時間いる、瞳が開く作用のある薬を使う、等が引き金になって瞳が広がると、隅角が更に狭くなって前房水を眼の外に流すことができなくなり、急激な眼圧の上昇を引き起こします(急性緑内障発作)。

急性緑内障発作は失明に至る危険な緑内障ですが、遠視で若い頃眼がよく見えていたために眼科に行ったことが無い方に閉塞隅角が多いため、注意が必要です。

また、他の科で「緑内障に使用禁忌」とある薬を使ってはいけないのは、このタイプの緑内障になります。

続発緑内障

何らかの病気や外傷、薬などが原因となって、眼圧が上昇して起こる緑内障です。

代表的な病気としては、

  • 重度の白内障
  • ぶどう膜炎
  • 糖尿病網膜症
  • 嚢性(のうせい)緑内障

などがあげられます。

原因となる病気の治療を優先しながら、緑内障の進行を抑えるための治療が必要です。

小児緑内障

生まれつきまたは生まれてしばらくしてから(乳幼児期に)眼圧の上昇がみられることで起こる緑内障です。

正常眼圧緑内障

一般的には眼圧の上昇以外にも、年齢や遺伝、強度の近視など、さまざまな要因が関係していると考えられています。

高眼圧は緑内障の主な原因ではありますが、実は40歳以上の日本人の緑内障患者さんのうち約60〜70%は、眼圧が正常範囲内(20mmHg以下)であることが分かっています。

正常眼圧の緑内障は、未だ原因が解明されていませんが、眼圧を下げることにより視野障害の進行が抑えられることが分かっていますので、主な治療は他のタイプの緑内障同様に眼圧を下げることになります。

一方で、「視神経の血液循環が悪い」、「酸化ストレス値が上昇している」等、眼圧上昇以外の因子が複数関わっている可能性があるとの研究報告があります。

眼圧が正常だからといって緑内障にならないというわけではないので、決して油断はせずに、定期的な眼科検診を欠かさずに実施しましょう。

緑内障の症状

緑内障は初期症状に乏しい病気

緑内障は、初期の段階では症状が出ないことが多いため、気づかずに進行してしまうことがあります。

緑内障が進行すると起こる症状

緑内障が進行すると徐々に視野が狭くなり、最終的には失明することがあります。

そのため、目(視界)に違和感を覚えたら、早期に眼科を受診して検査しましょう。

  • 白目の充血が続いている。
  • 視界がかすむ、まぶしさを感じる。
  • 視野が狭くなったように感じる。
  • 視力が低下してきたように感じる。

以上に該当する方は、注意が必要です。

とくに、

  • 40歳を過ぎた方
  • 健康診断で視力低下の指摘を受けた方
  • セルフチェックをして心配になった方
  • 家族が緑内障にかかっていたという方

は、放置せずにまずは検査を受けましょう。

緑内障は進行性の病気であるため、早期発見と適切な治療が必要です。

定期的な眼科検診を受け、早期発見につなげましょう。

緑内障の検査診断

診察・検査から診断までのながれ

これまで眼圧を調べれば緑内障の診断ができると考えられてきましたが、前述した通り眼圧に異常が見られない「正常眼圧緑内障」の患者さんが増加傾向にあることにとって、検査内容も多岐にわたるようになっています。

以下が一般的な緑内障の診察・検査から診断までの流れです。これらの検査を行うことで、患者さんがどの緑内障タイプなのか、またどの程度の進行状態であるかを診断します。

  1. 問診
  2. 視力・屈折検査
  3. 細隙灯顕微鏡検査
  4. 眼圧検査
  5. 隅角検査
  6. 眼底検査
  7. 光干渉断層計検査
  8. 視野検査
  9. 確定診断

各検査の特徴

視力・屈折検査

眼科検査の基本となる視力の測定を行います。

細隙灯顕微鏡検査

細い光を目に当てて、網膜や視神経の状態を調べる検査です。

眼圧検査

目に空気を当てて、眼圧を調べます。
正常眼圧緑内障が増えている近年でも、この眼圧の測定は欠かせません。

眼底検査

瞳孔から目の中を観察して、視神経の状態を調べる検査です。

隅角検査

角膜(くろめ)と虹彩(ちゃめ)の交わる場所を、隅角(ぐうかく)といいます。
隅角の状態を見ることで、緑内障のタイプがわかります。

光干渉断層検査

OCT検査とも呼ばれ、近赤外光を利用して網膜の断層像を撮影する検査です。 網膜の神経線維層の厚さを測ることができるため、視野検査と組み合わせて緑内障がどの程度の進行具合にあるのかの診断を行えます。

視野検査

自動視野計を使って、視野欠損の有無を確認します。

緑内障診療ガイドラインでは、

  • 進行の判定には最低でも 5 回の視野測定が必要であり、それ以上の測定ポイントがあることが望ましい。
  • 新たに緑内障と診断された患者の場合には、最初の 2 年間はできるだけ頻回に測定するこ とが推奨されている。

とありますので、当院で新規に緑内障と診断された方につきましては、3-4か月毎に計5回の視野測定を行い、進行の有無を確認してから検査の間隔を空けてもよいか判断いたします。

以上のような検査をもとに、緑内障の確定診断を行います。

緑内障の治療方法

できるだけ進行を遅らせ、失明を回避する

一度減ってしまった視神経を再び増やすことは現在の所困難ですので、一度欠けてしまった視野も元に戻すことはできません。

そのため、緑内障の治療は、「今の状態をできるだけ維持すること」が目的となります。

「今が一番見えている」という前向きな気持ちで、治療に臨みましょう。

緑内障の3つの治療方法

緑内障のタイプによって、適切な治療法は異なります。

緑内障の治療は、

  • 薬物療法
  • レーザー治療
  • 手術療法

主にこの3つの治療方法から選択されます。

検査によって緑内障のタイプを導き出したら、患者さんの目の状態にあった治療法を、時には組み合わせながら選定していきます。

どのようなタイプの緑内障であっても、「途中で治療を中断しないこと」が大切です。

決して自己判断して中止せず、疑問点や不安な点があれば、その都度、医師に相談しながら継続的に治療をしましょう。

薬物療法

点眼薬による治療

眼圧を下げるために、点眼薬が処方されます。眼圧が高くない場合でも、望ましい目標眼圧を維持できるように、点眼薬を使用します。

点眼薬にはたくさんの種類があり、それぞれ眼圧を下げる効果や副作用が異なります。まずは治療開始前の眼圧から30%眼圧を下げることを目標とし、副作用が少なく眼圧下降効果が高い点眼1種類から始めます。

その後眼圧が目標に届かない場合は、目標眼圧に届くまで種類を増やしていきますが、多くの場合3~4種類までが点眼できる限度になり、更に眼圧を下げる必要がある場合は内服・レーザー治療・手術治療を検討します。

目標眼圧に届いた後は視野の進行の有無を確認し、進行がみられる場合は目標眼圧を更に低い値に設定します。

レーザー治療

薬物療法では効果が不十分な場合や、眼圧の急激な上昇を防ぐ目的で選択されるのがこのレーザーを照射する治療です。

レーザー治療は大きく分けて2つあります。

1つ目は、レーザー繊維柱帯形成術です。

眼圧の上昇を防ぐためには、前房水の流れをよくすることが重要です。レーザーによって虹彩の端の方を縮めることで隅角を広げます。

2つ目は、レーザー虹彩切開術です。

目の中にある虹彩の一部をレーザーで切開し、房水の通り道を作って眼圧を下げることが目的となります。こちらは急性緑内障発作の治療に用いられます。

緑内障手術

レーザー治療でも防水のながれが改善できない場合や、視野の欠けが進行してしまう場合は、目にメスを入れる外科的な処置をします。

緑内障手術は大きく 

  • 房水の排出路を新たに生成する手術(繊維柱帯切除術、チューブシャント手術)
  • 房水の排出口を再開通させる手術(繊維柱帯切開術)

に分けられます。

前者の方が眼圧を下げる力が強いですが、術後合併症のリスクが後者に比べて高くなります。

この他に、眼圧下降効果は弱いのですが、白内障手術時に小さなチューブを繊維柱帯に1~2か所埋め込む手術(眼内ドレーン手術)もあります。

緑内障の進行予防方法

仙台・太白区で眼科検診は当院へ

定期的な眼科検診が緑内障の進行予防に必要不可欠

残念ながら、緑内障の予防方法は現在の医学的知見では完全に確立されていません。

緑内障は、視神経が障害されることで発症する病気であり、その原因が明確でないためです。遺伝や強度近視、生活習慣、服薬、加齢など様々な要素が絡んで、視神経に影響すると考えられています。

しかし、定期的に眼科検診を受けて、早期発見・早期治療に備えることが緑内障進行の予防につながります。

40代以上の人は半年から1年に1回の眼科検診を

緑内障は発症初期には自覚症状がほとんどないため、40代以上の人は半年から1年に1回の眼科検診を受けることが推奨されています。また、20代・30代の若年層でも緑内障が発症することがあるため、眼の状態が気になる場合は早めに検査を受けるようにしましょう。

生活習慣面での取り組み

緑内障発症自体を防げなくとも、日々の生活習慣を見直すだけで、病気の進行を緩やかにすることができます。

たとえば糖尿病や高血圧といった生活習慣病の予防に取り組むことが大切です。健康的な生活習慣を送り、バランスの良い食事、充分な睡眠、適度な運動を心掛けることが必要です。

また、若年層では喫煙が緑内障のリスクを高めることが知られているため、禁煙を心がけることも重要です。

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